山下湘南夢クリニック

患者さんの夢を叶えることが
自分の夢を叶えること

 

医療法人社団 煌の会
山下湘南夢クリニック院長  山下直樹先生

 

2009年に神奈川県藤沢市で開院した山下湘南夢クリニックは、研究成果で国際特許を取得するなど、生殖医療に貢献されています。20年以上にわたり生殖医療に携わる
院長・山下直樹先生の素顔は?

 


子どもの頃の夢は船乗りになって世界中を旅すること

 

生まれは石川県金沢市です。小学生の頃の夢は、船乗りになって世界中を旅すること。地図が好きで、どんな所なのか、どこに行こうか?と思いを馳せていました。
大人になってからも旅行が好きで、2017年には屋久島の縄文杉に会いに行きました。5時間を超えるトレッキング、霧のベールをまとった縄文杉が厳かに目の前に姿を現したとき、長年の夢が叶った瞬間でした。
旅行や運動など動くことが好きで、ひとつの所に留まっているよりも、自ら動いて見聞を広げていくのが自分には合っているようです。

医師を目指したのは、母親の影響です。私は二人兄弟なのですが、母は二人の息子を「一人は弁護士、一人は医師にしたい」という望みがありました。兄が法学部に入学したので、私は医学部を志望しました。
夢を持って息子たちを応援する母の姿に応えたい、と思ったのです。

 


産婦人科医になって15年目の転機

医師になって最初は整形外科を担当し、その後、病理検査や研究に携わりました。
しかし、再び臨床に戻ろうと考えて、動きのある明るい科がいいなと思い、これから誕生する人たちに接する産婦人科を選びました。
産婦人科医になって15年目、金沢赤十字病院産婦人科診療部長の職に就いていました。進行性のがんやハイリスクの分娩も多く、責任が重く、心身をすり減らすことが多い毎日でしたが、それなりにやりがいもあり、安定した生活を送っていました。
しかし、「本当にこのままでいいのだろうか?」と自問する日々でもあったのです。
当時の産科婦人科学会では、がん関係が主流の課題で、生殖医療(不妊治療)はほんの脇役だったのが、体外受精の成功で脚光を浴びるようになってきました。
命を延命するがん治療や出産をサポートする産科治療が意義深いのはもちろんですが、新しい生命誕生の手助けをし、挙児を希望されるご夫婦の夢を叶える生殖医療が、当時の私には曇り空に射す一筋の光のように思えたのです。
今まで築いてきた仕事と生活にピリオドを打ち、生殖医療を人生のライフワークにしようと決意しました。周囲の人々に迷惑をかけ、自分のわがままで新しい道を進むのだから、失敗は許されないし、この道で一流になるしかないと思いました。
当時、世界の生殖医療をリードしていたオーストラリア・メルボルンのMonarch大学へ研究研修医として単身渡航する準備を進め、渡航前に日本の不妊治療の先頭を走っていた3施設を見学させていただきました。
そのうちの一つの院長から「うちで勤務したらどうだ」と電話がきたのです。
この一本の電話が、私の人生の分岐点となりました。
ありがたさと未来を感じた私は、渡航をやめ、東京で生殖医療を学ぶ道を選び、現在に至ります。

 

念願の屋久杉に会った、屋久島の旅。

 

 


研究に着手し、国際特許を取得

 

一般的に日本の医療やサイエンスは、欧米に学び、それを取り入れてきました。しかし、人種や宗教、文化等が違うのですから、日本や東洋に合った医療があるはずです。
海外の医療が最善とは限らず、他にも方法があるのでは。
そう考え、研究にも携わっています。現在は、クリニックに高度生殖医療研究所を併設し、2名の専属研究員が研究を行なっています。
研究の成果として、極少数精子凍結コンテナ「MAYU」の開発で国際特許を申請中です。
精子の数が極端に少ない場合の精子凍結では、解凍したら精子が見つからなかったというケースがあります。
また、精巣腫瘍の方の採精や、白血病などの抗がん剤治療の前に精子を凍結して将来に希望を託すという方には、確実に精子を保存できることが重要です。
そうした場合にも対応するもので、蚕の繭(まゆ)からネーミングしました。
また、培養スタッフは、培養容器などに貼るラベルから揮発性物質(ガス)を出さないためのラベルを開発。培養成績の向上につながっているとともに、特許を取得し、販売もされています。

 


仕事帰りには水泳でリフレッシュ

 

一日の中でホッとする時間は、仕事の後に泳いでいるときです。夕方、フィットネスクラブに寄って、1時間半ほど無心で泳ぎます。
仕事からプライベートタイムへの気分の切り替えでもありますね。
また、楽器も好きで、学生時代はギター、6年ほど前からチェロも手にしています。いつか仕事を辞める時がきたら、チェロで「夢のあとに」を弾けたらいいなと思っています。
楽器が弾けると素敵だと思い、努力するものの、聞いた人に喜んでもらうには、プロ並の実力が必要だとわかりました。
音楽の分野では自分に才能がないと認識したので(笑)、仕事で人の夢を叶えます。
患者さんの夢を叶えるお手伝いができることに、やり甲斐を感じます。
それは自分の夢を叶えることだからです。
人ができることには限りがあります。
だから、思い上がってはいけないし、最善を尽くして、うまくいったら感謝する。
やるだけやったなら、あとは運を天にゆだねて、たとえ望む結果でなかったとしても、くよくよしないことです。
全ての人を幸せにはできないけれど、自分の周りの人にはハッピーになってほしいと思い、患者さんやスタッフに接しています。
先日、テレビ番組で不妊治療に関する特集があったので、それを見てどう考えたか、自分の考えを書いて提出する課題をスタッフに出しました。
受付やナース、培養士など、全分野のスタッフが対象で、上位3名には記念品を贈りました。それぞれの立場で考え、発信することは、学びであり、患者さんへの対応にもつながっていくと思います。

 

生殖医学会に仲間と発表しに行ったときの1枚。

 

 


不妊治療や妊活をしている人に伝えたいこと

 

情報に流されず、正しい情報を得て、自分で考えてください。
でも、子どもを持つということは、あなたがあれこれと考えるほど、むずかしいことではないと思います。
ジャンプする前に、膝の曲げ方、腕の振り方など、一つひとつ考えこんでしまっては高く飛ぶことができません。
無心になって、思い切り飛び上がると、新しい視野が開けて、今までと違う自分に出会えるかもしれません。

Fineに期待すること

 

FinePASサポーターになろうと思ったきっかけは、不妊や不妊治療についての周知、啓蒙活動が重要だと思うからです。
このまま情熱を持って、活動を継続してください。

 

 

HP:http://www.ysyc-yumeclinic.com/